投稿日時: 2023/03/08 17:11
最終更新日時: 2023/06/01 12:17
どうも、ざるご (@zalgo3) です。
11 月 29 日の不正競争防止法の改正により、「ゲームの改造ツールが違法になった」と一部で話題になっています。
この改正では、セーブデータの改造だけでなく、ゲーム機自体の改造についても規制がなされています。 任天堂 3DS の画面を PC でキャプチャするのに必要な偽トロキャプチャーもそのうちの一つです。
現状、3DS の画面を直撮り以外の方法で録画するには、このツールの使用は必須であり、ポケモン実況などができなくなってしまうのではないかと危惧されているんですね。
さて、こういうとき、必ずと行っていいほど誰かがまとめたブログなどをソースにしていろんな憶測が飛び交いますが、ここでは改正法の法案そのものをきちんと参照することにしましょう。
法案は以下のリンクから読むことができます。
http://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/h30kaisei.pdf
偽トロに関係しそうな箇所を抜き出しましょう。
他人が特定の者以外の者に影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録をさせないために営業上用いている技術的制限手段により制限されている影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録(以下この号において「影像の視聴等」という。)を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能を有する装置(当該装置を組み込んだ機器及び当該装置の部品一式であって容易に組み立てることができるものを含む。 )、当該機能を有するプログラム(当該プログラムが他のプログラムと組み合わされたものを含む。 )若しくは指令符号を記録した記録媒体若しくは記憶した機器を当該特定の者以外の者に譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し、若しくは当該機能を有するプログラム若しくは指令符号を電気通信回線を通じて提供する行為(当該装置又は当該プログラムが当該機能以外の機能を併せて有する場合にあっては、影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする用途に供するために行うものに限る。 )又は影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする役務を提供する行為
流石法律ってだけあって、一文がなげえ
要は、改造ツール(簡単に組み立てられる改造ツールの部品)を、人に譲渡したり、引き渡したり、改造をできるようにするようなサービスを提供したりしてはいけませんよってことを言ってるわけです。
偽トロキャプチャーを人に販売したり、3DS を受け取って代わりに偽トロを取り付けてあげるようなサービスを行うことは不正競争防止法に引っかかるかもしれないわけですね。
偽トロキャプチャーの販売が違法になる可能性があることはわかりました。
ここで問題になるのが、問題は、偽トロキャプチャーを「購入」することは違法なのか?ということです。
突然ですが、法律用語に、譲受という言葉があります。
これは、譲渡の対になる概念で、文字通り、人から何かをもらうことを意味します。
日本の法律では、人からものをもらう行為が規制される場合には、条文に「譲受」という言葉がきっちり明記されるようになっています。(例:盗品等無償譲受罪)
しかし、今回の改正法ではどうでしょうか?「譲渡」という言葉は出てきますが、「譲受」はどこにも出てきません。1
つまり、この改正法は、改造ツールを人にあげる行為こそ禁じていますが、改造ツールを人からもらうことに関しては、何ら規制をしていないわけです。
屁理屈のようですが、これは重要な話です。例えば、YouTube にテレビの映像をアップロードすることは違法なわけですが、それを視聴すること自体は何ら罪に問われる事ではありません。
もし視聴自体も違法になってしまえば、多くの国民の権利が侵害されることになるというのは、インターネット上ですでにたくさんの人が議論していることです。
今回の改正法についても同様です。販売者のみを規制するのと、販売者・購入者の両方を規制するのでは、話が大きく変わってしまいます。
結論としては、
偽トロキャプチャーの販売は違法だが、偽トロキャプチャーの購入は違法ではない。
ということになります。
ここまで読んできた方ならわかると思いますが、今回の法改正で生配信が違法になるということもありません、
あくまで、改造ツールの譲渡を禁止しているだけで、改造ツールの使用自体を制限するものではないからです。
もちろん、今回の法改正で違法になることはないというだけで、配信がソフトメーカー等の著作権を侵害している場合には、違法になる可能性があるということは付け加えておきます。
ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。
偉そうに書いておいてあれですが、当方、法律の専門的知識はございません。もし、法律の読み方に誤りが含まれていたらブコメや Twitter 等で教えてくださるとうれしいです。
「輸入」が禁止されている点が気になった方がいるかも知れませんが、あくまで「譲渡・引き渡しのために」輸入することが禁じられているだけなので、個人的に輸入を行うことについては問題はありません。 ↩