投稿日時: 2023/08/29 13:13
最終更新日時: 2023/08/29 13:18
こんにちは。歌い手のざるごです。
とある歌い手さんが「MIX 依頼した歌ってみたのクオリティが酷い!」と MIX 師を晒し上げた件が、界隈で物議を醸しています。
実は、こういった騒ぎが起きたのは今回だけの話ではなく、「MIX 依頼のクオリティ」に関した話題は、定期的に炎上しています。
この記事では個別の事例について直接的に意見を述べることはしませんが、そもそも、歌い手・MIX 師界隈で相場とされている「1 万円以下」という価格帯の MIX 依頼で、音源のクオリティに期待すること自体が間違いなのではないかという主張をしていきます。
理由はシンプルで、「安すぎるから」です。
1 万円というのは、学生が多い歌い手側からすると、確かに高額な金額に感じる人も多いでしょう。
ですが、MIX というのは専門的な技能を必要とする仕事です。
また、会社員と違って、依頼を継続的に受け続けられるとは限らなかったり、依頼先に飛ばれる・今回のようなクレームを受けるリスクもあります。
さらに、MIX を行っていくためには、機材などの経費も必要になってきます。
そういった事情を考えると、「MIX で食べていく」ためには、少なくとも、時間単価で 2000 円~3000 円は取らないと割に合わないということが容易に想像できます。
10000 円以下という料金で仕事を受けるとなると、作業に取れる時間は多くとも 4 時間程度です。
MIX の経験がある人ならわかると思いますが、4 時間という時間で満足いくレベルまで音源を弄り倒すのは非常に困難です。
基本的に 4 時間だと、「いつも通りのテンプレ MIX」くらいしかできません。 まして、ボーカルのピッチやタイミングがずれていたりすると、それを修正し切ることすら困難なのが、4 時間という時間の感覚です。
これは決して私の MIX 能力に問題があるせいではなく、レコード大賞作品を手がけるような超凄腕エンジニアの方ですら「やりたいことをやっていこうと思うと普通に 6 時間とかかかる」とおっしゃっています。 (厳密にはこちらはパラミックスの話ではありますが。)
歌い手は、1 万円という金額の字面だけを安易に見るのではなく、こういった「時間単価」という観点も考え、相手にとって適正な対価というのを常に意識すべきなのではないでしょうか?
1 つ目の解決策は、「正当な対価を支払う」ということです。
2 万円・3 万円と金額を増やせれば、MIX 師の方もその音源に向き合える時間が増えますし、自ずと音源のクオリティも上がってくるはずです。
ただし、そうはいっても、「毎回の歌ってみたでそんな大金払えないよ」という歌い手の方も多いでしょう。
そんな方々におすすめな 2 つ目の解決策が、「自分で MIX をする」ということです。
人に依頼せず、自分だけで MIX をすれば、(自分の時給を 0 円換算すれば)、いくらでも満足いくまで音源に向き合うことができます。
また、MIX を経験することで上記に書いたような、「短時間では満足いく MIX はできない」という感覚も掴めるでしょうし、自ずと MIX 師への敬意も培われてくることでしょう。
実際私ざるごも、こういった事情も鑑み、ほとんどすべての歌ってみた動画で、エディット・MIX・マスタリングまですべて自分で行なっています。どのような音源を作っているか気になった方は、下記のリンクを参照してください。
以上、(騒動にかこつけて結局自分の宣伝をするクソ)歌い手による記事でした。それではまた ←